よくよせられる相談 -年金・税金-

当センターによく寄せられる質問をまとめました。

年金保険料

相談

17年前に日本へ働きに来ました。日本で結婚し子供にも恵まれ安定した暮しを得られたので、今後も日本で生活するつもりです。そして子供や自分の将来のために社会保険に加入する事が大切だと知って以来、厚生年金も納めています。現在働いている派遣会社では日本人従業員以外の外国人労働者は、ほぼ全員が社会保険に入っていませんが、私は1年半前の入社直後に社会保険へ入れてもらいました。
1ヶ月ほど前、私にも「ねんきん定期便」が送られてきました。それを見ると、実際に私の給料から差し引かれていた年金保険料の半分ほどの金額が記されていました。私は1年半前から毎月32万~35万円の収入を得ており、毎月それに応じた年金保険料が引かれていました。ところが送られてきた定期便によると、標準報酬月額15万円相当の保険料しか納められていなかったのです。疑問を感じ、まず社会保険事務所へ1年半分の給与明細書を持って相談に行くと、「会社の申告に基づき保険料を納めてもらっているので、給料から多く引かれている分については何もできない。会社と話し合ってほしい」と言われました。そのあと会社に問題の件を問い質すと間違いを認めて、早急に対処すると返事がありました。ところが、それから1ヶ月が経過した現在まで具体的な説明がなく、請求してもはぐらかされてばかりです。あまりの理不尽さに労働基準監督署へも相談に行きました。
ところがまた、「ここで取り扱える問題ではない」とにべもない対応で余計に腹がたちました。労働者が事業主の不正を訴える場所はないのでしょうか。自分で弁護士に依頼して民事訴訟を起こして解決しろというのでしょうか。私にはそのような知識も手段もありません。私はお金を返してほしいわけではなく、会社に正しい保険料を納めてほしいのです。

対応

一生懸命働いて得た給料の中から真面目に保険料を払っているのに、それを誤魔化されては黙って見過ごせませんね。これまで多くの派遣会社が外国人労働者を社会保険に加入させず、その分で潤っていたと聞きます。また加入を求める者には、保険料の会社負担分も本人が負担することを強要したという話もあります。そこから察するに、会社は標準報酬月額を実際の収入の半分(15万円)で申告し、あなたの給料からは実収入である30万円相当の保険料を天引きしていたと推測します。そうすることにより、会社の保険料負担分はゼロになる計算ではないでしょうか。作為的にやったとしたら、ずるい考えだと思うと同時に「そこまでやるか」と言いたいです。
今回、政府が始めた年金定期便の制度が不正発見に役立ったわけですが、結局それをフォローしてくれる仕組みが見当たらないことが残念ですね。他に職を得がたい現在の社会状況では、更に強く労基署等へ訴えたり弁護士に依頼することを躊躇せざるを得ないのでしょう。会社は非を認めているそうなので、もう少し上司と話しを進めてみてはどうですか。最終的には民事訴訟で解決するにしても、今は会社の動きを見守るのが得策であると思います。


ブラジルの年金受給

相談

日本生まれでブラジル育ちの私は、ブラジルで約14年間の会社勤務により、社会保障費を納めていました。その後、日本人と結婚して25年前に日本へ帰国しました。ブラジルへは両親に会うため何度か戻っていますが、永住資格はとうに失効しています。
今年で61になりますが、ブラジルで収めた年金を受給できる可能性はあるでしょうか。ちなみに、25年前の引越しで当時の資料は殆ど残っていません。

対応

ブラジルの年金についてINPSのホームページで調べたところ、次のとおりです。
2009年に満60歳になった女性の場合は、年金保険料納付期間が168ヶ月(14年)あれば年金受給資格を得ることができます。

受給申請に必要な書類は次の通りです。

① INPS(社会保障機構)の登録番号又はPIS/PASEP(社会統合基金)番号
② RG(身分証明カード)およびCPF(納税者カード)
③ Certificado de casamento(婚姻証明書)
④ Carteira de trabalho(労働手帳)

①は労働手帳に記載又は留めている場合が多いです、②のCarteira de Identidadeは失効していると駄目かもしれませんが、国籍や在留資格は問われないとも聞いています。また、中には代替が可能な書類もあるかも知れませんので、どのような資料が手元に残っているか確認してください。
なお、去る7月29日、「社会保障に関する日本とブラジルとの間の協定」(日・ブラジル社会保障協定)が両国関係大臣により署名されました。この協定が効力を生ずれば、両国での保険期間を通算してそれぞれの国における年金の受給権を確立することになると思いますが、本協定が発効するためには国会の承認が必要で、実施までには暫く時間がかかりそうです。


年金の脱退一時金

相談

10年間働いていた会社を退職しブラジルへ帰国する予定です。社会保険には6年間加入していましたので「脱退一時金制度」について教えて下さい。

対応

滞在する期間が短い外国人は、保険料の納付が老齢年金の受給に結びつかないことが多いため、次の条件を満たし、年金を受けられないまま帰国した場合には、脱退一時金が受けられます。帰国前に管轄の社会保険事務所から「脱退一時金裁定請求書」を入手して下さい。

1 支給条件

① 日本国内に住所を有していないこと
② 厚生年金保険の被保険者期間が6ヵ月以上であること
③ 年金を受ける期間(原則25年以上)を有していないこと
④ 障害者年金等を受ける権利のないこと
⑤ 帰国後2年以内の請求であること

2 請求方法

社会保険事務所または区市町村に備えてある「脱退一時金裁定請求書」に必要事項を記入し、年金手帳、パスポートのコピー(氏名、生年月日、出国年月日が確認できる項)、銀行名・口座番号等の確認できるものを添えて、社会保険業務センター(住所:〒168-8505 東京都杉並区高井戸3-5-24 
TEL:03-5344-1100)に請求して下さい。


所得税還付の請求方法

相談

日本で8年間派遣会社に雇用され所得税の源泉徴収を受けてきました。ブラジルに住む家族に生活費を送金していますが、これまでに一度も所得税の還付を受けたことがありません。所得税還付の請求方法について教えて下さい。(ブラジル・男性・2世)

対応

会社などに雇用されて賃金(給与)を得ている人は、給与支払者(雇用者)が源泉徴収税額票に基づいて給与を支払う都度、所得税を差し引いて国に納める源泉徴収によって納税しています。会社に扶養者控除申告書を提出していれば控除されます。毎年末に、その年の給与総額を計算し、それをもとに算出された所得税額とこれまでに源泉徴収された所得税との過不足と生命保険料控除、配偶者特別控除などの調整を行い所得税が精算され、これを「年末調整」といいます。その年に給与以外の所得がなければ、これで所得税還付は終わり、通常払い過ぎはないと思われます。

しかし、あなたはブラジルにいる家族へ送金している事実を会社に届けていない(扶養者控除申告書を提出していない)ことや、控除対象になる諸保険料や医療費(年間10万円以上)の申告をしていないこと等から、所得税が還付される可能性があります。1年間の給与所得や納付した所得税は、年末にかけて雇用者から手渡される「給与所得の源泉徴収票」が証明します。

還付の請求は、源泉徴収票および家族への送金を証明するもの(銀行の送金振込控等)、扶養関係を証明する書類(親子関係などが確認できるパスポートや出生証明書等)、支払った医療費の領収書(その年の1年分の領収書)、国民健康保険料の納付書や年末に保険会社から送付される「所得税控除証明書」等を添付書類とし、身分を証明する書類(パスポートや外人登録証など)振込先銀行の口座番号(本人の)および印鑑を持って居住地を管轄する税務署にて手続きをして下さい。

確定申告は通常2月16日から3月15日までに行うようになっていますが、還付の請求についてはこの限りではありませんので税務署にお問い合わせください。


その他の相談事例

1 生活相談・情報・通訳
2 運転免許証・警察・交通事故
3 医療・保険
4 労働問題
5 査証・在留資格
6 日本語学習・教育・就学・研修・奨学金
7 年金・税金
8 帰国